TOP過払金に5%の利息を付けて返還すべき悪意の受益者とは
民法704条には「悪意の受益者はその受けた利益に利息を付して返還しなければならない。」と規定されています。ここでいう「悪意」というのは、「知っている」という意味です。自分が不当に利益を得ていることを知っている受益者は、受けた利益を返還するだけでは足りず、その利益に利息を付けて返還しなければいけないということになります。
これを過払い返還にあてはめると、顧客からグレーゾーン金利を受け取っていた貸金業者等が、過払い金が発生していることや、これを返還しなければいけないことを知っていた場合には、過払い金をそのまま返還するだけでは足りず、これに利息を付けて返還しなければいけないということになります。過払い金に付される利息の利率は、5%です(最高裁平成19年2月13日判決・民法404条)。
貸金業者は「自分は悪意の受益者ではないから、利息は付すべきでない」という主張をしてきます。これは、現在ではグレーゾーン金利は一律無効と判断されますが、過去には条件つきで有効となる可能性(※)があったことから、「結果として条件を満たさずに利息の約定が無効となって過払い金が発生したが、自分では条件を満たしているつもりであって、過払い金は発生していないと思っていた、だから悪意の受益者ではない」という主張です。
しかし、このような貸金業者の主張に対して、最高裁は、次のように判断しました。
「貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,貸金業者である被上告人は,制限利率を超過する約定利率で上告人に対して本件各貸付けを行い,制限超過部分を含む本件各弁済の弁済金を受領したが,少なくともその一部については貸金業法43条1項の適用が認められないというのであるから,上記特段の事情のない限り,過払金の取得について悪意の受益者であると推定されるものというべきである。」
この判決では、みなし弁済規定の適用の立証ができなければ、貸金業者は原則悪意の受益者にあたり、例外的に、みなし弁済規定の適用があるとの認識を有しており、かつそのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときに限って悪意の推定を免れると判断されています。
この最高裁判決が言い渡されたことにより、貸金業者は原則として悪意と推定され、上記特段の事情を立証できない限りは悪意の推定を免れることはできず、過払い金に5%の利息を付けて返還しないといけないということになりました。
過払い請求において争いとなる点について、以下のページで解説しています。
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